スキンケア&薬草おたくが藍を配合した洗顔石鹸を作り始め、会社まで立ち上げて奮闘中。

2008年01月26日

好きなのに

23日(水)に松山へ出かけてパネリストとして参加したフォーラムで、

笑いながら泣いちゃった瞬間がありました。

アレックスさんの基調講演の時でした。


ある歌のタイトルと歌詞が紹介された時のことです。


 「ユートピア・ソング」

  風がそよぐよ ドライブウェイ

  軽いリズムで どこまでも


  歌は流れる リボンはゆれる


  山も谷間も アスファルト ♪

  ランラン ランラン


  ランラランラン ランラン


  素敵な ユートピア



「建設省が制定した歌です」と言ってアレックスさんが大きなスクリーンで

楽譜のアップ画像を私達に見せてくれました。


最前列に座っていたんですが、こらえきれずに大笑いしました。

あまりのばかばかしさに、なかなか笑いが止まらなくて困っていたら

みるみる悲しくなってきて・・・最後には涙がちょちょ切れ状態でした。

私達のユートピアって何だ!?



帰ってきてこの歌のことを調べてみたら、昭和25年の建設省が制定したものでした。

私の父が生まれて1歳の時の話なのか・・・とイメージのきっかけをつかんでみれば、

なるほどと思えることがいっぱいあります。



打ちのめされた日本が、なにくそと空をにらみながら立ち上がろうとしていた時代。



均一に舗装された山道を、ピカピカの自動車でぬかるみに足を取られる心配もなく

スマートに走り去る。当時の夢の光景だったことでしょう。

それが夢でなくなった今、「山も谷間も アスファルト♪」はトーンダウンするどころか

不必要と思われるようなところまでも浸食が進み、さながら、日本の国土自体が

たちの悪い不治の病にかかってしまったかのようです。



お世話になったイタリア人の師匠が言っていたことを思い出します。

彼は登山が大好きで、イタリアの山岳会に所属していた人でしたので

日本の山について、とても深い思い入れを持っておられました。



「本当に、日本の山は美しいです。花が咲いて、沢があって、梅雨のあとには

夢みたいな苔の庭も(これは彼の秘密の場所でしたが)現れるし、紅葉もきれいで

温泉もある!!こんなに表情のある山はヨーロッパにはないです。

・・・でも、日本人はそれを知らないね。自分たちの持っている宝物を知らないで、

どんどん壊してる。

去年みきちゃんと一緒に散歩した○○山の散歩道は、もう無いんだよ。

モノレールのでっかいコンクリートの橋げたにつぶされました・・・」


知らないんじゃないんです。価値が分からないんです。

あって当たり前のものに、価値など無いのです。

美しい散歩道より、そこにない橋げたを作ることの方が

価値を生む行為として認められる仕組みなんです。

と、その日の私は生意気に答えた記憶があります。


「日本は、どんどん悪くなります。僕はもう日本のことをあきらめました。

もうすぐ国へ帰りますよ。」

しばらく経ってからそう言われた時は、寂しかったけれどお引き留めする

すべなどありませんでした。



アレックスさんのお話を聞いていると、師匠の顔が思い出されて胸が何度も

熱くなりました。

アレックスさんは、日本の美しい「もの」や「こと」に深い愛情を持って

かかわられているために、それを壊して富を生もうとする風潮に怒りを持って

警鐘を鳴らし続けていらっしゃるわけですが…


重要なことは、アレックスさんが私たちに伝えようとして下さっていることが

「絵空事じゃない」と一体どれだけの人が、どれだけスピーディーに増えるか

ということのような気がしてなりません。

破壊の速度は猛烈ですから。



余談ですが

徳島県の木頭の町が、ダムに頼らない町づくりを決断したと知ったとき、

感動しました。こんな輪がもっと広がればいいのにと、祈りましたし、

木頭のゆず製品を見つけたら買うようになりました。



産業と、景観の破壊は、イコールではないです。

日本はもう、日本以外の国の価値観と戦わなくても

日本ならではの価値観にスポットを当ててみたって十分に豊かに暮らせると

思います。少なくとも文化的には。



繊細で美しい感性の日本人の空に、鉄の塊の乗り物がやってきて

火のお化けが降ってきた。

圧倒的な破壊力の前で、日本人の繊細さは武器にもならなかった。

その恐怖と逆転を願う余地もない敗北感が、あまりにも深くトラウマに

なって、二度と焼かれない国になるために、

国の全部をサイボーグみたいにつくりかえようとヤッキになり続けている。

そんな風にも思えなくない。

ユートピアソングは、強い強いアメリカへの根深いコンプレックスの中で

無邪気に生まれた歌かもしれない。



鉄のお化けは年々進化するし、火のお化けのパワーも一層増している。

そんなんじゃ安心して繊細な美しさを取り戻す気持ちになんてなれない。

強く、強く、強くならなくちゃ・・・



もしかしたら、そんな深層心理がどこかで働いていてもおかしくないですね。

私はかつて、香川も四国も日本も大嫌いでした。

とっとと師匠の故郷のイタリアへ飛んで行ってしまおうと考えていました。

だけど、いる。私いま、香川にいます(笑)。

家族もいるし、好きな風景もあるし、師匠のように「日本をあきらめる」ことが

できません。

大好きなのに「好き」と素直に言えないふるさとの、役にたてる人間になろうと

奔走しています。



強い人は、自分が強いことを見せない。

怖いことも悲しいこともあって当然だから、動じない。

本当の豊かさや強さについて、もう少しゆっくり気づくことのできるチャンスが

あっちこっちにあれば、いいのにね・・・

アレックスさん、日本で辛い話ばかりをする機会が多いでしょうに、

ありがとうございます!!受け取ります!!
好きなのに

2月24日に、「ユープラザうたづ」でアレックスさんの講演会があるそうです。

チェックしてみてくださいね。(電話で問い合わせた方が良さそうです)

ちょっとキツイことを聞かされるかもしれないです。うふふ・・・←なぜ笑う



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Posted by ばんどーみき at 23:28│Comments(3)徒然と
この記事へのコメント
>アレックスさんの講演会

これは、一般の方でも参加出来ますか?

どこに連絡すると良いのでしょう?
Posted by 讃岐で働く社長讃岐で働く社長 at 2008年01月27日 08:34
おはようございます。
NPO法人香川県レクリエーション協会です。
どんどん環境が破壊されてきている現状が凄く恐ろしいです。
四国はまだ自然をたくさん見ることができますが、これも温暖化が進むと
どうなるんだろうと不安がいっぱいです。
1月なのに太陽をじかに受けると「暖かい」というより『暑い』と感じた日がありました。今の時期でこの温度なら夏はいったいどんな暑さになるんだろう…
単純な発想ですが不要なCO2を分解するものはないんでしょうか?
個々が省エネ・エコに取り組んでも間に合わない現状があると思うんですよね~       これは個人的な意見ですが…
Posted by レクちゃん at 2008年01月27日 09:03
讃岐で働く社長さん
当日飛び込みで良いようです。午後3時スタートだということですのでお早めにいらしてくださいね。
楽しみですね!!

レクちゃんさん(この「さん」はいるのかな?????)
コメントありがとうございます。
個人的な取り組みをあきらめない人が増え続けて、だんだんと大きな規模での取り組みにつなげていくしかないのかな~~と果てしない気持ちになりますね。
確かに、年々日差しが「きつい」と感じるようになっています。
本当に大切なことを、できる人ができることから始めて、続けて、声を上げていきましょう。私も続けます!!
Posted by ばんどーみきばんどーみき at 2008年01月27日 23:14
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    コメント(3)